-お母さんは家庭の薬剤師 -

インドでは、家族の体調に合わせてアンマ(お母さん)が毎日ご飯を作ってくれます。

 

庭から新鮮なカレーリーフをちぎってきて、野菜を器用に指の上で切り分けます。アンマの横で子供がココナッツ削りのお手伝い。

 

 「この子、チョット風邪気味みたい。今日は、生姜とブラックペッパーを多めに入れて作ろうかしら。」

 

薫り高いハーブと、愛情というSpiceの効いた食卓。

どんなお薬よりも、温かい心のこもった手料理が一番心と体を癒してくれます。

 

 

 

- Power of Spice -

 

 

アーユルヴェーダの生活の智慧が、ヒトからヒトへ代々口伝えされ、現在でも受け継がれています。病気ならないように、普段の食事から「きちんと消化すること」「腸内にガスをためないこと」「便秘をしないこと」を心がけることが大切になり、それを助けてくれるのがスパイスの力です。

 

 

ジンジャー(生姜)

  消化力を強めて体を温め、保温、解熱、新陳代謝を活発にします。辛味スパイスのなかでも、胃や腸などの消化器に対して辛味の刺激を及ぼさない唯一の香辛料。

 

●クミン(馬芹)

  消化液の分泌を促すことで消化促進、腹痛や胃痛などを緩和します。駆風作用にも優れていて、ガスがたまりやすい豆類やカリフラワー料理、つゆの時期には欠かせないスパイス。

 

●ターメリック(うこん)

  強い抗菌作用があり、血液を浄化し、血管の新陳代謝をよくし、温め、新しい血液組織の生成を促します。特に、高たんぱく食に加えると消化を助けて、腸内細菌叢を整えます。日本にも卑弥呼の時代からあったと伝えられており、肝臓病、健胃、皮膚病などに使用されていた。ターメリックと水(牛乳、ヨーグルトでも)に溶いてパックにすると、抗菌作用から皮膚を清潔にし、余分な油を除き、粉との摩擦から余分な角質も取り除きます。また、切り傷、皮膚病、不安やストレス、咳や喘息などの呼吸器系の病気にも効果があります。

 

●コリアンダー(香菜・パクチー)

  味覚を良くして食欲を高め、熱病、喉の渇き、灼熱感を抑えます。胃腸の働きを促進し、新陳代謝を高めます。独特の香りをもつ葉・茎にはカロチン、ビタミンが豊富に含まれており、一方シード(種)は、万人好みのさわやかな香りがします。

 

●ブラックペッパー(黒コショウ)

  唾液の分泌を促して消化を助けます。体を温めたり、吐き気、むくみ、便秘にも効果があります。料理でも、下ごしらえ・料理中・食卓でと多様に使えることからスパイスの王様と呼ばれています。

 

●シナモン(肉桂)

  体を温める作用が大きく、血液循環が良くなり肌の色を美しくし、胃腸の働きを強めて内蔵を強化します。他の薬草が体内に吸収、利用されることを後押しするアーユルヴェーダのハーブでもあります。

 

●クローブ(丁子)

  胃を温めて、ガスによる腹痛や胃痛にも効果がありあます。強い殺菌力から、口臭を抑えたり、虫歯や歯周炎にはホールを噛んでると痛みが和らぎます。

 

●ナツメグ(肉荳)

  中国や日本でも健胃薬として古くから使われており、消化促進、特に小腸の吸収力を高め、便秘を解消し、肌を美しくするスパイス。加熱すると刺激臭は弱くなって甘さが出てきます。肉料理の臭みけしにも。

 

●マスタードシード(芥子

  インドでは主に辛味と刺激性の強いブラックマスタードが使われます。辛味から消化の火を燃え立たせて消化力を上げます。シードから搾油したマスタードオイルは、利尿剤、神経痛湿布薬などにも使われます。

 

●カルダモン(小豆蒄)

  唾液の分泌を良くし、消化吸収を助けます。体の脂肪を取り、食品の消化を助け、口臭も取り去ってくれます。精神と感情をも刺激し、ストレスを緩和し脳を活性化させる働きもあります。