アーユルヴェーダと食事

 「最高の薬は食べ物である」 「薬にならない植物はない、マントラにならない言葉はない、役に立たない人間はいない」という教えがあるように、アーユルヴェーダでは食事は健康のために薬と同じくらい重要視されます。何を食べるかというだけではなく、どのように食べるかがポイント。栄養のあるものを食べるというだけではなく、美味しく食べること、味覚だけでなく五感も満たし幸せを感じることが大切になります。

 

 

体に良いと言われているものも、その調理法によっては性質が変わったり、勿論、美味しいものをたくさん食べ過ぎてしまうことも管を詰まらせてそれが毒となってしまいます。栄養のあるものも、体の中できちんと『消化・吸収・代謝・排泄』が行われてはじめて、その効果が現れることになります。「宿便が万病の元」と言われているように、体に溜まった老廃物は病気の原因のひとつとなります。消化しきれなかったもの、未消化物(アーマ)が体のあらゆる管に付着し、管を狭くし流れを悪くする為に、エネルギーや酵素の供給や老廃物の排泄などがうまくいかなくなり、その結果、その体の組織が弱くなって病気の原因となってしまします。

 

アーユルヴェーダの食事療法というと、インド料理、カレー、菜食主義になると誤解されます。ですが、アーユルヴェーダの教えは、普段の何気なく食べている食べ物も全て薬になるということ。食べ物は、薬として体だけではなく心、さらには魂にまで影響するとあります。ですから、母なる自然と自分の心とカラダに耳を傾けて、そのときの体調や体質に合わせた食べ物を食べる。そういった智慧を、アーユルヴェーダは教えています。


◎食事の摂り方ポイント

 

 ① 満足感、爽快感のある食事(心の満足 腹八分目)

 ② 食事に集中する(食事は瞑想。~ながら食べをしない。)

 ③ 良く噛んで、速すぎず遅すぎず、胃の3/4~3/2の量をとる

 ④ 食後は、消化をじっくり見届ける(最低3~5分は動かない)

 ⑤ 昼食を主にする。(夕食はバランスの取れたものに)

 ⑥ 出来立てで温かいうちに、作った人の愛情を感じながら食べる(愛情は魂の栄養素)

 ⑦ 食べ合わせに注意する


◎6つの味

 

・甘味(V↓ P↓ K↑)

 甘味は体の組織をつくるエネルギー。カラダに栄養とくつろぎを与えます。水と地の元素から成り立っていて、殆どの食べ物には糖分が含まれています。それだけ、どの生き物にとっても栄養上大切なエネルギーです。

・酸味(V↓ P↑ K↑)

 地と火の元素から成り立っています。アグニを刺激させ、不活発なヴァータエネルギーを活発にし排泄を促します。唾液の分泌を促し消化を助けます。

・辛味(V↑ P↑ K↓)

 火と風の要素から成り立っています。食欲を増進させ、体内分泌の新陳代謝をコントロールします。

・塩味(V↓ P↑ K↑)

 火と水の要素から作られます。身体の管を掃除して。組織をしなやかにし、消化を助けます。

・苦味(V↑ P↓ K↓)

 苦味には、毒を消し、臓器の調子と整え、肝臓をきれいにし、皮膚病を予防する解毒作用があります。風と空から成り、脂肪、筋肉、尿、便から水分をなくします。

・渋味(V↑ P↓ K↓)

 病気を癒す働きがあります。血液をキレイにし、潰瘍を回復させます。水分の分泌を抑え、吸収し、便秘と渇きの原因になります。